公益社団法人 日本産科婦人科学会 産婦人科医への扉 −君の力が未来になる−

RECRUIT EVENT : SPRING FORUM

医師10年目前後の産婦人科医が全国から集まり、横のつながりを深めるフォーラム。

SPRING FORUMスプリングフォーラム

REPORT

イベントレポート

第14回スプリングフォーラムオンライン座談会開催報告

【開催概要】

日時 2024年6月30日(日) 10:30-11:30(オンライン開催)
運営側人員 18名
参加者 11名
目的
  • 1. スプリングフォーラムで作成したキャリアデザインを見直し、ブラッシュアップする機会を作る
  • 2. スプリングフォーラムで築いた横のつながりを、強固かつ⻑期的なものとするきっかけを作る

座談会概要

 2024年3月に開催した第14回産婦人科スプリングフォーラムでの学びをブラッシュアップし、イベントで得た横のつながりを⻑期的なものとするために、イベント終了から3ヶ月が経過した6月30日(日)にオンライン座談会を企画しました。今回のテーマが「キャリアデザイン」というイベントの2日間では完結し得ないものであり、一定時間が経過したのちに再度議論を行うことが有意義であろうと考えたこと、イベント直後のアンケートにおいて約3/4の参加者より「オンライン座談会があれば参加したい/参加を考慮する」と回答いただいたことを踏まえ、座談会の実現に至りました。

 イベント終了後にオンラインで座談会を行う、というのはスプリングフォーラムとして初めての試みでした。1時間という短い時間でしたが、現地で顔を合わせていた仲間だからこそ、オンライン上でも活発な議論を得ることができました。

【事後アンケート(2か月後)について】

 スプリングフォーラム 終了2か月後に、2回目の事後アンケート調査を実施し、イベント直後と比較した考え方や行動の変化に関する評価をいただきました。アンケートへご協力いただいた皆様(回答率52.9%:36/68名)に、この場を借りて改めて感謝申し上げます。

イベント直後と2か月後時点を比較し、キャリアデザインに変化があると回答した参加者は半数弱を占めました(図1)。特に日々の業務の中で⻑期的な見通しが持てるようになった、優先順位が明確になった等の視点の変化を挙げる意見が多く見られました。

図1

また、イベント終了後から2か月という短い期間であったにも関わらず、イベント当時(2024年3月)に作成したキャリアデザインの一部実現や、所属組織での相互支援を実践した参加者が1/4程度おり(図2)、さらに「今後実践したい」という前向きな意図を持ち続けている旨の回答が8割に上りました(図3)。家族、上司、職場への働きかけを行って考えを共有したり、主体的にセミナーや勉強会の開催をされたという声もありました。

図2

図3

2日間のイベントでしたが、スプリングフォーラムで初めて知り合った他の参加者と2回目以降の交流が持てたと約4割(14名)が回答しました(図4)。学会での再会に加え、実際に進路等の悩みを相談する相手として継続的に交流をしているという参加者もおられました。

図4

【キャリアデザインの見直しについて】

 オンライン座談会の参加者の中から2名の方に、3月のイベント当時に使用したものと全く同じ体裁のワークシートを用いて、キャリアデザインの再作成を依頼しました。完成したワークシートを画面共有しつつ、ご自身の中で3月当初と比較してどのような変化があったのか、という観点で発表をしてもらいました。

発表者1:

 学位取得とその後のサブスペシャルティ取得に向けたキャリアデザインの共有があった。
上司や家族と今後の予定について対話をもつことができ、それを踏まえてキャリアデザインのブラッシュアップができていた。他の参加者より「サブスペシャルティに関する専門医資格を取得したのち、どこでどんな風に働き、どんな自分を実現したいのか」という質問があり、相互議論の中で様々な立場、年代の参加者同士の考えが共有され、発表者以外も自身の「人生の目的・目標」に立ち返ってキャリアデザインを見直す好機となった。

発表者2:

 スプリングフォーラム当日にはうまくキャリアデザインをまとめられなかったとのことであったが、座談会では「教育」に重きをおいて作成し直したキャリアデザインを共有いただいた。後輩医師の教育だけではなく、将来的に市⺠向け講座なども含めた発信の機会を持ちたいという展望があり、同様の興味を持つ他の参加者から「どんな分野を想定しているのか」「どのようなセミナーが良いだろうか」という具体的な議論もあった。また、パートナーとのキャリア形成のバランスをどう取るか、という点について2名の発表者同士でも活発な意見交換がなされた。

 両名ともオンライン座談会をきっかけにキャリアデザインを見直すことで、「家族や上司と対話を持つことができ、人生の目標・目標の解像度が上がった」「優先すべきタスクを絞り込むことができた」などの発言がありました。

【フリートークについて】

「この3か月でキャリアデザイン実現について何を取り組めたか」「キャリアデザインの相互理解・相互支援のために何ができたか」について活発な議論がありました。

(意見の一例)

  • ・パートナーとゆっくり話し合うことで、意見の相違があってもお互いを理解できるようになった。
  • ・キャリアデザインの実現に限らず、「時間の使い方が重要である」という観点からの学びが非常に活きている。
  • ・職場のメンバー(特に後輩やコメディカルのスタッフ)と、職場であったことを都度共有できる機会を作ったことで、業務が円滑になった。
  • ・職場で「こう考えているので、こうしたい」と声に出して伝えてみたら、意外と周りが協力してくれることがわかった。
  • ・将来ワクチンの啓発や性教育に関わりたいと考えていた中で、院内で講演などを依頼されるようになってきており、そのような機会を大切にしたいと思った。

 一方で「タスク管理がうまくできない」「望まない環境に置かれた場合にどうモチベーションを保つか」という悩みを共有し、参加者同士で助言をし合う機会も得ることができました。

(議論の一例)

  • Q:日々締め切りの迫ったタスクに追われ、⻑期的に自身のキャリアに役立つ学習などに時間が割けずに困っている。
  • A:1日の一番最初に、自分にとって優先度の高いタスクをこなす時間を設けると良いのではないか。
  • Q:次の職場が自分の意思で選べない時はどうしたら良いか。
  • A:自分が何を期待されているのかを考え、修練を積んでおくのが大事ではないか。
  • A:大きな病院では専門性を高められるというメリットがあるが、関われる業務の幅は広くない。一方で小規模であったり、地方の病院では広範な業務に関わるチャンスがあり、その後のキャリアに活きることも多い。
  • A:想定していなかった経験(論文を書かせてもらった等)を得ることもあり、できることを見つけていくことが大切。

●最後に

 オンライン座談会において参加者の皆様の議論を拝聴し、「キャリアデザイン」とは時間の経過とともに常にブラッシュアップされ、自身のより良い産婦人科医師人生の道標になり得るものである、と再認識をいたしました。スプリングフォーラムで得た経験や参加者間の繋がりが継続的な見直しとフィードバックにつながり、各人が「⻑期にわたって」「自分自身が納得できる形で」キャリアデザインを作り上げる原動力の一助となることを願っております。

 第15回産婦人科スプリングフォーラムは2025年3月15日(土)-16日(日)に箱根湯本(神奈川県足柄下郡箱根町湯本)にて開催を予定しております。現時点でオンライン併用のハイブリッド開催の予定はございません。
詳細が決まり次第、周知をさせていただきます。

スプリングフォーラムワーキンググループ
未来委員幹事:草開妙、末光徳匡
リーダー:涌井菜央
サブリーダー:嶋村卓人、今井啓太
メンバー:上條恭佑、十河進仁、丹羽堅太郎、秋田啓介、飯田祐基、加嶋洋子、中尾優里