公益社団法人 日本産科婦人科学会 産婦人科医への扉 −君の力が未来になる−

RECRUIT EVENT : SPRING FORUM

医師10年目前後の産婦人科医が全国から集まり、横のつながりを深めるフォーラム。

SPRING FORUMスプリングフォーラム

REPORT

イベントレポート

第8回スプリングフォーラム 開催報告①

開催にむけて

 第7回までは『専門医取得後から卒後10年目前後』という参加条件を設け、「若手の目線・若手からの提案」を重視した運営を行ってきましたが、ディスカッションの幅を広げるため、卒後15年目以上のベテラン産婦人科医師の参加も募集することとしました。

 第8回では「フォロワーシップ」「コミュニケーション」をテーマにワークショップを行いました。また、シンプルな言葉を使って人のやる気を引き出す「ペップトーク」の講演を行いました。

ワークショップ

フォロワーシップのススメ~リーダーを育てるサポート術を身につけよう~

 「フォロワーシップ」という言葉を知っていますか?フォロワーとはリーダー以外の人を指し、フォロワーシップは、フォロワーが発揮する「リーダーを支えよう」「共に目標に向かって頑張ろう」という意識です。リーダーにリーダーシップが求められてきたように、フォロワーにも、フォロワーシップの発揮が重要と考えられるようになってきています。リーダー一人がどれだけ頑張っても、それを支えるフォロワーの、フォロワーシップの意識が育たなければ、良いチームは作れません。
しかし、イクボス宣言や広島宣言に示されるように、産婦人科医の中には、まず頑張る主体は「ボス」である、というマインドが強くあります。
そこで、第8回スプリングフォーラムでは、若手からも積極的にリーダーをサポートし、自分たちからも積極的に変わっていくことの大切さをディスカッションしました。

今回のワークショップは、日本ヘルスサイエンスセンターの石川雄一先生に監修していただきました。石川先生は医師でありながら、「健康設計」をテーマにした講演会やワークショップを多数主催されています。石川先生の進行のもとで、熱いディスカッションが行われました。

ディスカッションの成果を「フォロワーシップ5か条」としてまとめ、第70回日本産科婦人科学会学術講演会の指導医講習会にて発表する機会をいただきました。
http://www.jsog.or.jp/to_medics/tobira/activities_report.html

ワークショップでのディスカッション内容の一部を示します。

1.理想のフォロワーシップとは?

 フォロワーの一番の役割は、リーダーとチームのコミュニケーションをサポートすることです。リーダーの目となり耳となり情報収集を助け、リーダーの口となり意図をわかりやすく伝えることで、円滑なチーム運営をサポートします。気まずいカンファレンスも、その人が入ってくるだけで雰囲気が良くなるって人いませんか?そういう人は、こうしたテクニックを上手く実践しているのかもしれません。

2.Problem oriented system(POS)からGoal oriented system(GOS)へ

 普段、目前にある問題点ばかりに目がいって、組織やチームの目指すべき、大きな目標を目指すことを忘れていませんか?問題点ばかりを個々に見ると、それぞれのベクトルの違いばかりが目立ち、時に対立してしまいます。
しかし、大きな目標(ゴール、ビジョン)に目をやってみると、意外と同じことを目指していたことに気づきます。そうすれば、ベクトルの違いが気にならなくなりませんか?
問題点を考えて行動するproblem oriented system(POS)から、goalを見据えて行動するgoal oriented system(GOS)への変換にチャレンジしましょう。

3.ビジョンを語ろう/聞き出そう

 チームでGOSを行うためには「goal=目標」を共有する、もしくは共有できるgoalを設定する必要があります。とはいっても具体的な目標を設定するのは容易ではありません。そのためにまずはシンプルに、各々が持つビジョンを語ることから始めましょう。
私たちは過去(起きてしまったこと)や今(目の前の問題)に対して議論することには慣れていますが未来(これからどうなってほしいか)について話すことには慣れていません。

まずはビジョンについてチーム内で語り合える環境を作ってみましょう。
(例)
5年後/10年後/30年後… の 医療はどうなっていてほしいか
5年後/10年後/30年後… の 産婦人科医療はどうなっていてほしいか
5年後/10年後/30年後… の xx医局、xx地方の医療はどうなっていてほしいか
5年後/10年後/30年後… の 私は上に掲げた「未来」のためになにがしたい

4.ポジティブを引き出そう

リーダーにとって、フォロワーの「積極性(ポジティブ)」を引き出すことは重要です。
積極性を10点満点で評価したとして、「10」の人もいれば、「4-5」の人もいます。「10」の人に仕事を集中させてしまいがちですが、産婦人科の未来のためには「4-5」の人たちの積極性を「6-7」に引き上げる努力が必要です。

この積極性を引き出すためには「問いかけ方」が重要です。

 例えば、「産婦人科医療をもっと盛り上げたい人、手を挙げて!」と言っても、なかなか手は挙げづらいでしょう。挙げた人が浮いてしまって、盛り上げるには逆効果かもしれません。
逆に、全員に挙手をさせておいてから「産婦人科医療を盛り上げたくない人、手を降ろして!」と言ったほうが、質問はややネガティブでも、ポジティブな姿勢を引き出せます。共通の目標を持っているんだな、ということを可視化しやすい効果もあります。

積極性を引き出すための問いかけ方を普段できているか、意識してみましょう。

5.「ありがとう」は最高のフォロワーシップ、感謝の気持ちを伝えあおう

 今回のスプリングフォーラムでは、1分で人をやる気にさせる会話術である「ペップトーク」の講演も行われました。「ペップトーク」には4つのプロセスがあって(後述)、というようなテクニックの学びも得ましたが、こういったテクニックよりも何よりも、一番人をやる気にさせてくれるのは、「ありがとう」という単純な一言である、ということが一番の学びでした。
私が休めているときも、誰かが働いています。私が困っているとき、助けてくれる誰かがいます。そんな時、「お互い様だから」とクールぶらず、「ありがとう」を足してみませんか?同じgoalに向かうのだから、互いに「ありがとう」を伝えあって、互いをやる気にさせていきましょう。

6.まず自分から始めよう

 イクボス宣言の第5条にも同じ条項があります。その時は「ボスから変わろう」、という意味しかありませんでしたが、第8回スプリングフォーラムを経て「若手からも変わろう」という意味に進化しました。
理想のWLBの実現を、いつか現れる理想のイクボスに託していましたが、イクボスもWLBも、若手やフォロワーが自分たちからも変わり、働きかけ作りあげていくものと気づきました。
一人ひとりの意識の変化が、理想のWLBを実現する第一歩になります。他人任せのマインドから、「わたしから変わっていこう」のマインドに切り替えていきましょう。