公益社団法人 日本産科婦人科学会 産婦人科医への扉 −君の力が未来になる−

MEMBER’s VOICE

医系技官経験者の声

患者だけではなく
市民が
よりよく(Wellbeing)
生きるために
何ができるのか

涌井 菜央Nao Wakui

出身地 新潟県
出身大学 大阪大学
卒業年 2014年
現在の勤務地 川崎市立川崎病院
出向期間 2020年4月〜2022年3月
出向先 厚生労働省(大臣官房厚生科学課、子ども家庭局
母子保健課、保険局医療課、新型コロナウイルス
感染症対策推進本部等)
専門分野 周産期
部活動/趣味 ボート部/着物でお出かけ
いま熱中していること 乳児(我が子)の観察

憧れの東京ライフ!
と思っていた矢先に
COVID-19が流行

医系技官に出向したきっかけと生活は? 初期臨床研修医の頃から漠然と医療行政に興味があり、厚生労働省へ見学へ行った事もありました。その際に「初期臨床研修終了後に入省する」「途中で出向して年限付きで医系技官として勤務する」という2つの選択肢があることを知り、まずは産婦人科医としての技術を身につけたいという思いから、先に専門医取得を目指しました。
卒後6年目の夏、「厚生労働省へ行きたい」と教授に相談。大学院を休学して出向することになりました。憧れの東京ライフ!と思っていた矢先にCOVID-19が流行し始め、緊急事態宣言の中で上京する羽目に…

自施設の先進医療の実施に携わる等、出向で得た知見が活きています。

実際の業務内容や経験談は? 前半1年間は再生医療・ゲノム編集医療・遺伝子治療などを含む臨床研究の倫理規制に、後半1年間は不育症・不妊症、妊婦健診や子育て支援に関する事業に携わり、途中不定期にCOVID-19対策に身柄を取られるという目まぐるしい生活を送っていました。特に2022年度の不妊治療の保険適用は0からの制度設計が必要であり、通常では想定されないスピードで予算要求、制度設計、施行までを見届けることができました。
国会議員や団体へ説明に出向く機会も多く、適切な順序で進めることで世論に注目され、施策を世の中に提供できるのだという実感を持つことができます。このことが出向して得られた最も大きな学びです。
また規制制度が頭に入っているために、病院へ戻ってからもスムーズに研究計画の立案ができますし、引き続き自施設の先進医療の実施に携わる等、出向で得た知見が活きています。

一番現場の知識を吸収し、奔走している若手の先生こそ行政を覗いてみてほしい

学生・研修医のみなさんへのメッセージ 産婦人科は他科と比較しても保健・福祉・教育に密接に関わる診療科です。病院でのカンファレンスのように、知識やエビデンスを示すだけでは何も動きません。制度や体制は偉い上の先生が決めるんだ…と受け身でいることは非常に勿体無い、一番現場の知識を吸収し、奔走している若手の先生こそ行政を覗いてみてほしいと思います。医系技官は技能維持のための兼業が可能です。患者だけではなく市民がよりよく(Wellbeing)生きるために何ができるのか、臨床現場と行政の双方の目を持つことで見えてくる景色が沢山あります。