公益社団法人 日本産科婦人科学会 産婦人科医への扉 −君の力が未来になる−

MEMBER’s VOICE

ベテラン・若手産婦人科医の声

Daichi Urushiyama

独特の奥深さ・不思議さを知り、自分の判断で救える命の大きさを知る

漆山 大知Daichi Urushiyama

出身地山口県
出身大学福岡大学
卒業年度平成20年
勤務先福岡大学病院
専門分野周産期
部活動/趣味小学3年生から始めたヨット(ディンギー)に、大学2年生時まで打ち込みました。高校3年生で全国大会に優勝し、大学2年生で世界選手権の代表選手になったところで、(世界との差に愕然として)引退しました。その後は、大学時代から始めたバドミントン部にのめり込みました。こちらは思うほど強くなれませんでしたが、キャプテンをした際の組織をまとめる難しさ、多様な先輩・後輩・異性との関わり方など、本当に多くのことを学ぶことができました。
いま熱中していること第一には、研究と臨床です。どちらも奥深く、真実を追求しながら自分を高めていくというのは本当に面白いと思います。あと同じくらい熱中しているのが、出産準備です。出産後の必要物品を買い揃えたり、名前を考えたり、今のうちに二人でしかいけない小旅行や食事に行ったり・・・、初めてのことばかり、色々楽しんでいます。

祖母の死をきっかけに「命に関わる科に入りたい」と思う

産婦人科に決めたきっかけは? もともとはオリンピックに帯同するスポーツドクターに憧れて医師になりましたが、卒業直前、祖母の死をきっかけに「命に関わる科に入りたい」と思い直しました。初期研修中、麻酔科や救命に惹かれた時期もありましたが、研修医2年目の9―10月に産婦人科を回って、妊娠管理・分娩・産科救急など産婦人科独特の奥深さ・不思議さを知り、自分の判断で救える命の大きさも知りました。「これなら一生、高いモチベーションでやっていけそうだ!!」と思って、母校に入局を決めました。

臨床は4割、のこりは研究に費やす日々

現在の産婦人科生活について もともと産科の臨床が好きで、最初はお産のたびに、もらい泣きしそうになっていました。それからシビアな症例も沢山経験して、怖さを覚えました。その後、「起こったことに対してどう対処するか」だけでなく、「いかに早く予測して未然に対応するか」も同じくらい(もしくはそれ以上に)大事だということに気づいて、その観点で臨床にあたるようになってからは怖さもほぼなくなりました。今は、助産師さん・患者さんなど他の視点から見ることにも努めています。視点を変えるだけで、驚くほどいろんなことが見えてきます。僕は妊娠できませんが、最近、妻の妊娠経過を間近で見ていると、本当に興味深いなぁ、産婦人科医になってよかったなぁとつくづく思っています。ただ、実は今大好きな臨床は4割くらいかしておらず、大学院生として残りの時間は研究に費やしています。 感染性早産の研究に興味を持って、主任教授のご厚意のおかげで、2年半、国立成育医療研究センターの研究所(周産期病態研究部)に国内留学できました。3つの目標(①論文が産科の清書に載ること、②論文がガイドラインに載ること、③将来的に妊婦健診を変えること)を密かに持って、産科領域ではまだほとんど発掘されていなかったマイクロバイオームという新しいフィールドの研究に打ち込みました。最近発表した自身の研究報告が今後どの程度評価されるかにもよりますが、①と②はクリアできたかも・・・、でも③はまだまだこれからだなって思っています。もし研究内容に興味がありましたら、「周産期マイクロバイオーム」「羊水 成育」「Microbiome profile amnioticfluid」などと、ググってみてください。 現在は福岡大学に戻って、その研究の続きのプロジェクト(詳細は秘密です)にチャレンジしています。世界で自分しか知らない事実を掴んだときの快感は、本当に格別です!!

産婦人科専門医にしかできない特権がある

学生・研修医のみなさんへのメッセージ 学生や研修医のみなさんは、必然的に様々な科を比較すると思います。他科と比較すると、せっかく産婦人科に興味が湧いても、「多忙でハイリスク」というネガティブなイメージが足かせのように根強くあると思います。僕もそうでした。 しかし、その世界に入ってみて初めて分かりましたが、その考えは古いです。今は多くの病院で、オン・オフがはっきりした勤務体制になっています。オンの時は、専門性が高く、需要が供給を上回っている(産婦人科医が不足・偏在しているところが多い)ため高い収入が得られるケースが多いと思います。十分な収入はオフを充実させてくれます。リスクに関しても、学会が定期発行しているガイドラインや各種制度(産科医療保障制度など)が近年格段に充実してきたので、きちんと勉強しておけば昔のようにハイリスクな状況に置かれることは、まずないと思います(実際、あってはいけません!万が一、そういう状況が存在したら患者さんを含む皆のために、声を大にして是正していかないといけないと思います!)。 ぼく自身、産婦人科を続けていく上で絶対的に必要なものは、モチベーションや熱意と思います。我々も魅力を伝える努力をしないといけませんが、分かってもらえた方には是非、一度現場で活き活きと働いている人を見つけて、その人に話を聞いてみてほしいと思います。おそらく喜んで飲みに連れてってくれると思います。 また、研究に興味のある方もウェルカムです。実は、ヒトの発生初期をリアルに観察・研究できることは、産婦人科専門医にしかできない特権なんです。